Bパート 中

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 莫大なデータは光信号に変換され、向き合わされた鏡の中へ射出されます。永遠に反射し続けながらデータを維持して行く。鏡の表面は一枚板ではなく、光学顕微鏡などで見ないとわからないほど小さな鏡がびっしりと並んでいる。  反射する際、その小さな鏡の裏に反射を感知する基盤が組まれていて光信号を判別する。またそれは反射角度変える機構を持っており、同時に同じ場所へ反射させないようになっている。  現在、DDDはLベースの地下空間にあるが、ガイアックスは将来、大型にして宇宙空間に設置しようと考えている。大鏡(おおかがみ)プロジェクトと呼ばれている。 「でもデータ同士がどうやって人を救うようなことができるんですか?」  薫は問うた。 「データとは言っても、意思・心はあります。今、私と花咲さんが話すように、そしてこうやって触ることも可能」  雨宮は薫の手に軽く触れた。 「DDDの中に地球と同じ世界を作ろうとしています。データとなった人は、そこで生活します。実世界でいうところのアバター世界みたいなものです。我々はそこをユニバースと呼んでいます」 「ユニバース……」
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