Bパート 中

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「はい。一昔前。パソコンや携帯端末でネットにアクセスを行っていた時代にクラウドというシステムが流行していました。現在でも使っている人もいます。クラウド・雲の上と言ってはあれですが、クラウドと比べものにならない程の情報量を宇宙空間で扱おうというところに由来しています。ですが、ユニバース世界は空間としてはありますが、中にはまだ何もありません。現在そこにデータ化した人物を描写するところまでしか開発が進んでいません」  薫はここまで聞いてふと疑問に思った。  なぜ、そんなものを作ろうとしているのだろうか。データになってまで生きたいのだろうか。 「花咲さん。なぜ我々がDDDを作っているのか? もし興味がおありでしたら彼女を救出した後、説明しますよ。説明を聞いた後は、地球に帰すことはできませんが」  薫の思考を聞いていた雨宮が口に出して言った。  不気味さをもった笑顔の彼を見て、薫は恐怖を感じた。  この部屋に一対一でいるとはいえ、思考は相手にダダ漏れ。安易に探りなどしない方が身のためだろう。 「あまり深入りするのはやめておきます」
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