Bパート 後

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「私の汚された心に染まりたくなければ、今すぐここから消えろ。最初で最後の忠告だ。前の三人と同じようになるぞ」 「ホワイト・カンバスさん。一体どうしたんですか? セリカの皆はあなたを心配して帰ってくるのを待ってます」  薫は差し障りのない言葉を選んで言ったつもりだった。 「なぁ、お前もうざいよ。見てわからないのか?」 「!」  奇声を発するようなホワイト・カンバスに薫は驚いた。 「溜まりに溜まった埃をかぶり、欲をぶちまいた白い海で私は溺れている。このまま海底の闇の中で寝かせてくれ。元の世界に戻るつもりはない。偶像にしか己を吐けない獣がいる世界など滅びてしまえばいい」 「……。ごめん、君の言っていることがわからない」  薫は、どうやって彼女を説得すればいいのか全く考えつかない。自分より年下の女の子が理解し難い言葉を並べ、そこから何か切り口を見つけることなんて俺には無理だ。 「そんなに私のことが知りたいなら、わからせてやる。自分の心も見えぬ獣など先の三人と同じ顛末をたどるがいい」
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