Bパート 後

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「かまいません。俺はユニバースに残って絶零波を受けます」 『それでは花咲さんがどうなるかわかりませんよ』 「やってみなきゃわかりませんよ」 『しかし……ダメだ。時間が戻ります』  薫は不安な気持ちに押しつぶされそうだった。でも、たぶん彼女の方がもっと……。  光の波に薫は流されて行く。  目の前を映画のフィルムが滝のように流れて行く。正面から当てられた光が流れて行くフィルム一コマ一コマを透かし、白銀の幕にホワイト・カンバスの心を描き出す。それは薫の目を通して無理矢理水を飲まされているように、心に直接流れ込んで行く。  描き出された世界の色は全て反転して、目が痛い。心は爪でひっかかれたようにじわじわ痛くなっていく。  ――紙に描かれたホワイト・カンバス。男は赤や青、黄、黒など様々な絵の具のチューブを握り、その絵に勢いよく中身を絞り出す。色を変えては何度も何度も中身が出なくなるまで繰り返す。重なり合う色は黒く混じり、きれいに描かれていたホワイト・カンバスは黒く汚れた――
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