Bパート 後

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 ――男の手で丸められた白い団子となったホワイト・カンバスを、用意された串に刺す。その串の数は知れない。串団子は火の上で何度もムキを変えられ転がされる。最後に、甘味の飴を塗りたぐられて出来上がる。そして、みたらし団子は食べられた――  ――山になったパズルのピースの中からまさぐるように目当てのピースを指で一つ一つ確認し、完成したホワイト・カンバスの絵柄を想像する。位置、形、向きを何度も合うまであてがい、はめ込んでいく。凹凸が上手くつながっていく感覚は小さくも気持ちいいもの。最後のピースがはまった時、最高の達成感を味わうことができる。愛を込めてでき上がったパズル―理想像―は崩し難い。記憶に焼き付けるようにパズルの表面にノリを塗り、額にはめて飾っておこう。出来上がりを何度も見ては最後のピースがはまった時の絶頂感を味わう。そう。額の中で、華やかなステージで黒いマイクを握りしめ、汗を流すほど飛び跳ねて歌うホワイト・カンバスと一緒に――  お願い。  仮の私の姿、ホワイト・カンバスは自由に汚してもいいから、本当の私を、褄黒(つまぐろ)白絵(しろえ)の中まで入ってこないで。
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