Bパート 後

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「……」  白絵の表情は固まり、白絵の頭の中はネットを楽しんでいる自分の姿が駆け回っている。自分の声で作られた歌。千差万別のホワイト・カンバスのキャラクター。白絵はそれを見て楽しんでいる。 「白絵さん。君は何も知らなかったんだよね。だから、ビックリしちゃったんだ。ネットからiマギに変わったことで、今まで見れなかったものが流れ込んできちゃったんだ。けがらわしく欲望に満ちた思念が。それをホワイト・カンバスに向けた愛だと勘違いして拒絶しなかった。もう少し大人になって違う形で欲望に満ちた行為を知っていたら、拒絶できたかもしれない。別の受け取り方もできたはず。でも、大丈夫。白絵さんは、汚れてなんかいない」 「――私はよごれて……ないの?」 「そうだよ」  白絵の肩の力は抜け、カプセルで眠る幼い表情を取り戻しつつあった。 「それじゃ、始めようか。お題は無人島に持っていく物で有り無し」 「無人島……」  白絵の片手に巻きついていた鎖がなんの前ぶれもなく、ほどかれる。巻きついていた細い手首の肌は赤く鎖の痕が残っていた。 「友達」  薫が問うた。 「……なし。いらない」
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