Bパート 後

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 背中に生えた蝶の羽にからんでいた蜘蛛の巣がシャボン玉が割れるように消えた。  白絵は羽ばたいた。広いのか狭いのかわからないユニバース世界を飛び回り、薫の前で止まった。 「データになってまで生きたくもない。こんな世界が嘘っぱちだってこともわかってる!」 「白絵さん……」  白絵は、また目と口を開いた。  両手も広げると白絵の全身から光が溢れ出す。  薫は何もできず、瞬く間に光の波に飲み込まれた。  DDDのコントロールルームの計器は全てエラーを表示し、エラーランプが部屋を赤く染めていた。雨宮は愕然とし、イスの上でうなだれていた。  薫は目を覚ますとカプセルはすでに開いていた。手や体、頭に張りつけられたケーブルの類いをはずし、カプセルから出た。  白絵のカプセルも同じく開いている状態だった。薫は白絵を見ると、まだ彼女は目をつむったまま。このまま目覚めないのだろうかと心配になる。  覚えている限り、ユニバースでの最後、白絵は俺に絶零波をくらわせた時と同じ行動をとった。なぜ、そうしたのか。光を放つ白絵が脳裏に浮かんだ。
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