Bパート 後

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 白絵は笑って背伸びをしてみせた。そして、自分を確認するように自分の体を触り始めた。 「自分の体にいる方がやっぱりいいわね。あの何もない中にいると、何にも触れず静かでただそこに存在し続けるって感じだったけど、これからしばらくは自分の目で見て、耳で聞いて触れるモノがある世界にとどまるわ」 「もう、ホワイト・カンバスとして活動はしない?」  薫は聞いた。 「しっかり現実をつかむことができてからかな」  と、白絵は薫の手を握った。薫はゆっくり握り返した。  そして、白絵が、 「人の手って、温かいのね」  と、言った。
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