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「よう、待ってたぜ。あんたたちのためにイイ案件を取っておいたぜ。セリパラの船長!」  どんな街にもある案内所の紹介屋は、扉を開けて入ってきた薫率いる三人組に向かって言った。 「俺らを呼びつけたんだ。それなりの依頼なんだろうな」  薫はカウンター越しに言い返した。 「いっちょまえに言うようになったな。十七才の後継ぎ空賊のひよっ子が」  ヒゲ面の紹介屋もカウンターに乗り出し、薫の額に自分の額をこすりつける。薫も負けじと押し返す。 「船長。周りの人に迷惑がかかるので、やめて下さい」  眼鏡をかけた好青年のイノガリが薫の襟首をつかんで紹介屋から引き離した。案内所ではテーブルで説明を受けている空賊類いの輩や、依頼を申し込む人、壁に張り出されている依頼内容を読でいる人もいる。 「おい、イノガリ、放せ。副船長のお前が船長のやることを押さえ込むとは、どういうつもりだ。お前が俺の後に続かないでどうする」 「続かないも何も、私の額をどこにこすりつけろというんですか! 我々は、依頼を受けに来たんです。額で小競り合いをしに来た訳ではありません」
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