Bパート 前

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 紹介屋は案内所の隅に置いてある一メートル四方の木箱を指差した。所々、空気穴のような小さな穴が空いている。薫はそこから中を覗いても中は暗く何が入っているのかわからない。 「中身は何なのよ?」  ハレミは依頼書をじっくり読んでいるイノガリに聞いた。 「書いていませんね。マスター、中身のことは依頼者から何か聞いていませんか?」 「中身については、何も言ってなかったな」 「んじゃ、開けてみるか」  薫は上蓋に手をかけた。 「船長、開けてはなりません!」  イノガリが強く口早に言った。薫の動きがピタリと止まった。冷静なイノガリがそう言う時は、何かまずい時だと薫もすぐにわかった。 「何でだ?」  薫が問う。 「依頼書に中身の確認はできるだけしないで欲しいと書いてあります。もし、確認したければ、依頼を正式に受理し、街を離れた船の中で行ってくれと」  イノガリが依頼書を確認しながら言った。 「引き受けておけよ。この報酬は五千万だ。しかも先払いだぞ」
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