Bパート 前

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「弾が効かないなら、事実上無敵の不沈船か。硬く無愛想極まりない冷たい船だな。全く暖かみが感じられねぇ。やっぱり木造船だな。セリパラ号ほど乗り心地のいい飛空艇はねぇ」  結局、船長は自分の船を褒めたかっただけかとイノガリは内心思っていた。だが、なぜ雲の上に地上人の黒鉄船が泊まっているのか。確か先の大戦では、戦争とは関係ない国家任務を遂行する際に飛んだらしいが……。私たちの知らないところで時代が動こうとでもしているのか。空まで巻き込んで欲しくないな。  セリカ・パラノイド空賊団幹部三人と紹介屋は、セリカ・パラノイド空賊船―セリパラ号に到着した。 「おらー、野郎ども。とっとと荷を運び入れるんだよ。船長が戻って来たのに出向準備ができてないってどういうこと?」  ハレミは、もたもたしているクルーたちに叫んだ。近くで荷を運ぶ若手クルーのお尻に蹴りを入れるハレミ。  イノガリは荷入れをしているクルーに依頼の木箱を中に入れるように指示した。 「クルーは皆、若いな。人は少なそうだが」  紹介屋はセリパラ号を見回して言った。 「多いと船が沈む」
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