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「今日から蜘蛛手紘一失踪に関する情報を集めたところ、早速情報が入ってきた。三年男子による情報だと、二週間前、学園に来た最後の日。放課後、蜘蛛手が屋上に向かう階段を上がっていくところを目撃したそうだ。今のところ、この情報しかない。他に何か情報を持っている者は?」
会長は周囲を見渡す。隣の副会長が手を挙げた。
「僕が調べた範囲では、家族から学園への問い合わせや警察への届け出はないようです」
「そいつはおかしいな」
会長は大げさに腕組みをし、さらに続けて、
「この学園の先生方は、重、かつ、大なることが起きても表沙汰、警察沙汰にしたくないと思っている。学園の評判を下げる事情は一切公表しない異常学園だとしても、なぜ蜘蛛手の家族も警察に失踪届けを出さないんだ」
「すみません。まだそこまではわかりません」
副会長は軽く頭を下げる。と、すぐに頭を上げて続ける。
「もしかしたら、いつものように学園側から何か渡されて動けずにいるのでしょうか?」
「口封じか、いつもの……」
「あの、それはないと思います」
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