Bパート 中

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 セリパラ号が行く航路の天候は穏やかで順調に航行している。  整頓されて物が積まれている貨物室に依頼された例の木箱は置かれていた。イノガリが木箱のフタを開けようと、打ち込まれた釘を釘抜きで抜いている。薫とハレミ二人がその様子を見ていた。 「開けて、ドカーンとかやめてよね」  ハレミは大げさに両手を広げた。 「だったら、ここにいるな。船尾にでも行ってろ」  イスに座ってその様子を見ている薫は、腕と足を組み貧乏揺すりをしている。 「嫌だ。イノガリ、早く開けてよ」 「だったら、ハレミも見てないで手伝ってくれてもいいんですよっと」  最後の釘が抜け、イノガリはフタの左右に両手をかけた。  ハレミは息を飲む。  薫の貧乏揺すりが止まる。  イノガリがフタを開けた。 「エッ?」  一瞬、間が空いてイノガリが目を見開いた。 「これは……」  すぐに薫とハレミがやって来て、木箱の中を見ると、二人の動きが一瞬止まった。  箱の中にはこちらを見上げる幼い女の子がいた。
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