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「んー、見せてくれないと、あそこにいる怖いお兄さん二人がもっと怖くなるよ」
ハレミは冗談めかして言うと、蒼は薫とイノガリを交互に見て震えた。
「ハレミ。なぜ、私も入るのだ」
イノガリは心外だと感じた。
薫は何も言わず、ただふてくされながら蒼を見ている。
「こわい」
「でしょ。だから、少し見せてくれたら、また布をかけてあげる」
「……わかった」
「はい、いい子ね!」
ハレミは普段薫たちに見せない優しい笑顔をしていた。蒼の背にある黒い布をはぐと、蝶の羽が蒼の背中から生えていた。鮮やかな黒と青と白の色。オレンジ色の斑点が目につく。
「これは……蝶人間か……」
思わずイノガリは声を上げた。
「蝶人だ。……田舎病だか呪いにかけられていると先代に聞いた事がある」
薫が答えた。
「きれいな羽。蒼ちゃんは妖精さん?」
蒼はハレミの言葉を聞いて驚いた表情を見せた。
「きれい? 羽が?」
「えぇ。とってもきれい」
「あ、触っちゃダメ。粉がついて死んじゃうから」
ハレミは蒼の羽に触れようとして、蒼に止められた。
「死んじゃう? どうして?」
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