Bパート 中

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 蒼が話し終えても、誰も次につなげる言葉が出てこなかった。  突然、貨物室の扉が開き、クルー十人ほどが雪崩れるように倒れ込んできた。 「誰だよ、押したの」 「押すなって言っただろ」 「……かっ、かわいい」  クルーは口々に言う。蒼は驚いていたが、男子にかわいいと言われて少し照れていた。 「イノガリ」  薫は一言。 「君たち。自分の持ち場はどうしたんですか? 船内で覗きとは趣味が悪いですよ」  わざと足音を立てて、慌てて起き上がるクルーに近づいていく。クルーたちは蜘蛛の子を散らすように貨物室から出て行った。イノガリも貨物室の扉を閉めて出て行った。 「どいつもこいつも歓迎ムードか」  と、薫はため息をついた。  突然、衝撃、爆音とともに貨物室が爆煙に包まれた。 「次から次へと何だってんだ。ハレミ、無事か?」  煙で何も見えない。薫は煙を吸わないようにして言った。 「こっちは大丈夫。蒼ちゃんもそばにいる」  煙の向こうからハレミの声が聞こえた。すると貨物室に充満していた煙が流れるようにして、船の外へと出て行く。
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