Bパート 中

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 煙がすっかりなくなると、辺りには砕け散った木片が散乱していた。そして、船の外壁にぽっかりと穴が空いていた。外が丸見えになり、風が出たり入ったりを繰り返している。 『左舷中央被弾。被害状況を確認しろ』  船内アナウンスが入った。 「船長は直撃されたっての」  薫は苦笑いをしながら、空いた穴から外を見渡した。遠くに飛空艇が見えた。 『左舷後方七時に敵船を確認』  この距離で砲撃をくらわせるとはな。  セリパラ号の進む先に黒い雲が広がっている。遠深黒海だ。風は吹き乱れ、稲妻があちこちで光っている。黒い雲の下の海も黒く、見分けがつかない。 「イヤー」 「蒼ちゃん。どうしたの? ビックリしちゃったよね。私がそばにいるから大丈夫よ」  震え上がる蒼をハレミは抱きしめた。 「私を殺しにきたんだ」 「そんなことない。大丈夫よ、蒼ちゃん」 「それはどうかな、ハレミ」  薫が会話に割り込んだ。 「どういうこと?」 「俺らはつけられていたんだよ。この子を海に落としたかどうかを確認するために」  やっぱりな。
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