Bパート 中

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『入ったら抜け出せんかもな。もう機関も若くない。それに外壁やられとるんだ。そこからバラバラになるぞい』 「そうか。小さい虫を払い落とそうと思ったんだけどな」 『黒海ギリギリまでなら平気だと思うが、虫は自分たちで払い落とせや』 「そうする。機関よろしく、ロウジン」 『セリカの願い星に届け! キャプテン!』 「よし、戦闘だ。迎え撃て!」  集音器に向かって強く言うと、薫の声が船内に響き渡った。すぐに、クルーたちの威勢のいい声が船内のあちこちから聞こえてきた。  まもなくして、早くも小型戦闘機の砲撃をセリパラ号は受けてしまう。 「穴だらけになりそうだな、これは」 「早くしないとこの船、本当に沈んじゃうよ、船長!」  ハレミは震える蒼を抱きしめながら言った。 「その子をどうするかは戦闘の後で決める。ハレミは、その子と船の中央に移動しろ」 「わかった」 「地上のゴタゴタは地上で始末しろってんだ。空まで巻き上げてくれるなよ」  薫は楽しそうに笑みを浮かべて、貨物室を出て行った。 「さぁ、私たちも行きましょう」
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