Bパート 後

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Bパート 後

 デッキは風が吹き荒れ、何かにつかまっていないとバランスを崩し体ごと飛ばされそうになる。  セリパラ号は船体をギシギシ言わせながら、遠深黒海の淵を飛んでいた。黒い雲との境目を航行し、時々内側へ引き込まれそうになる。 「戦況はどうだ」  薫がデッキに出てきて、イノガリに聞いた。 「見ての通り、風の影響で戦闘機はここまで近づけないでいる。だが、風に乗ってくると打ち込まれる」 「風に慣れるのも時間の問題か。向こうの戦力は?」 「小型戦闘機が四機飛び回っているが、母艦の力は不明。その小型戦闘機なんだが」  イノガリが説明しようとした時、一機の戦闘機がセリパラ号の真下から突風に乗り、急浮上してきて船の真上で止まった。すかさず、クルーはデッキから発砲する。が、すべての銃弾は黒い装甲に弾かれてしまった。 「めり込むこともなく傷一つつかないのか」  薫は驚いた。 「母艦の黒鉄と同じ装甲のようで、弾は弾かれるだけ」  イノガリは言い途中だった説明を続けた。  真上の戦闘機は、機体を風に揺さぶられてバランスを保てず遠深黒海側へ引きずり込まれてしまった。
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