Bパート 後

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「もし、この戦いに勝ったら、私、どうなってしまいますか。やっぱり海に捨てられますか?」 「させない。そんなこと私がさせない。もし船長がそうするなら、私が船長をこの船から突き落としてやるわ」 「どうしてそこまで……」  蒼にはここまで優しくしてくれる理由がわからなかった。守ってくれたのは母親だけだったのに。  ハレミは蒼の両肩に手を置いて、 「それは先払いの報酬金をミスミス海に沈めさせたくないから――」 「え?」  蒼は呆気にとられた。 「――そんな訳、少しはあるけど、こんなかわいい妹欲しかったの!」  ハレミは蒼に抱きついた。  蒼もゆっくりハレミの背中に腕をまわし、ハレミの胸に顔をうずめた。蒼の肩が上下に動き、きつく抱きしめる蒼が声を押し殺して泣いている。ハレミにもすぐに伝わり、しばらく蒼を抱きしめていた。  次第にドア向こうの廊下が騒がしくなってきた。 「先代が残してくれた秘密兵器・ミドリムシを使う。機関室からデッキまでケーブルを引っぱる。手の空いている者は手伝え」  走り回るクルーに指示を出しているイノガリの声だった。
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