Bパート 後

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 とうとう使うのね、あれを。今から準備するということは、まだ時間がかかる。デッキからの攻撃だけで時間稼げるのかしらと、ハレミは蒼を抱きしめつつ考えていた。ふと下を見ると蒼の周りに青い粉が落ちているのにハレミは気づいた。  ――これって。  デッキは、セリパラ号の行く末を占う攻防が続けられていた。セリパラ号の周辺を飛び回る戦闘機はだいぶ風の流れを読めるようになったのか、安定してセリパラ号を攻撃してくる。  セリパラ号の飛行速度はだんだん遅くなり、高度は下がっていく。それに加え、遠深黒海を離れて始める。荒れ狂うような風はおさまり、雲のない晴れ渡る青い海が眼下に広がり始めた。  薫はそれに気づいていた。これでは狙い撃ちされる。  と、そこにイノガリとクルーがケーブルを船内から引っぱって来た。それはまるで消防用のホースと放水銃だ。 「すぐに撃てるか?」  薫はイノガリに聞いた。 「まだです。フル充塡にはもう少しかかる」 「早くしないと、本当に沈んじまうな。なぁ、イノガリ。遠深黒海から離れているが、指示したか?」 「いいえ、私は何も……」
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