Bパート 後

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 と、イノガリがそう答えた時、空を飛ぶ鮮やかな羽の蝶が目に映った。それはすぐに蒼だとわかった。 「アイツ何をする気だ。なぜ外にいる。まだ弾が飛んでいるってのに」  風の流れをつかもうとしている蒼を目で追う薫。  蒼は、黄色の粉をまき散らしながら、戦闘機へと近づいていく。  体をくるくると回転させながら銃弾の雨を避ける。  黄色い粉は戦闘機を一瞬包み込んだ。すると、静かに高度を下げて行き、二度と上がってくることはなかった。  蒼はすぐに次の戦闘機へ向かって行く。 「一本取られたな。自分の呪いを武器に使うとは」  薫は笑った。 「しかし、これでは我々も巻き込まれてしまうのでは」  イノガリは背筋を凍らせた。 「大丈夫よ。セリパラ号の風上に出ないよう言ってあるし、あの呪いはコントロールできるようになったから」  ハレミが堂々と胸を張って現れた。 「呪いのコントロール?」  イノガリが聞いた。 「えぇ。どうやらあの鱗粉は、蒼ちゃんの精神状態や気分でその成分が変わるみたい。今は見ての通り黄色で、死の粉。マイナスの精神状態がそうさせる」
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