Bパート 後

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 銃口から放たれた緑色のレーザービームが一直線に黒鉄の飛空艇に向かって行く。そして、いとも簡単にレーザービームは黒鉄の装甲を貫いた。船の正面から後ろへ貫通している。  薫は銃口を上下に動かすと、一直線に伸びていたレーザービームは一つ波を作り、黒鉄の飛空艇を縦に割った。直後、レーザービームは音もなく消えた。  左右に割れた黒鉄の飛空艇は、一瞬の静寂の後、爆発し、爆煙を上げながら降下して行く。残された二機の小型戦闘機は、セリパラ号を離れて行き、どこかへ消えてしまった。  セリパラ号に歓声が上がった。  海へ道案内する黒鉄の飛空艇から昇る煙を見ているやつは誰もいない。クルーは喜び、声を上げ、抱き合うやつもいる。 「この空で自由に生きた方が彼女にとってはいいかもね。何に邪魔されることなく、きれいな羽を伸ばして飛べるんだから」  ハレミは薫の隣でセリパラ号の上を浮遊する蒼を見ていた。 「決めるのはお前じゃない」  薫が一言。 「まったく融通のきかない男。やっぱり子供ね」
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