第7章 飼い主 四季野牡丹 1

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「病室で、高校生の俺と看護師の牡丹さんの会話や行動。もしくは、薫少年の夢の話にヒントがあると思う」  薫がそういうと、牡丹は唇をきゅっとしめてもう一度頭の中で思い返そうとする。 「今、思い出さなくてもいいよ。ゆっくりでいいからね」 「あ、はい……」  牡丹は、パッと顔の緊張を緩めた。 「今まで牡丹さんの物語を聞いていると、やっぱり人の面倒を見てあげたい人なんだなって感じたよ」 「どの辺りがですか?」 「それを顕著に表しているのが、牡丹さんが看護師として登場していることだね。患者さんと親身になって面倒をみるだろ」 「はい。確かに」  牡丹は自分の看護師姿を思い浮かべた。薫少年の様子を伺う牡丹。 「面白いと思ったのは、薫少年だ。姿、形は俺なんだろうけど、中身は牡丹さんそのものだ。蝶の女の子をとらえてケースに入れるところは完全に今の牡丹さんと合致するするし」 「ですね。私もなんとなく自分なのかなって思ってました。今思うと笑っちゃいますよね」
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