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Bパート 後
次の日の放課後。
校舎の屋上に続く階段を一歩一歩上がって行く花咲薫。屋上へのドアを開けた。秋から冬になる頃の冷たい風に薫は身を震わせた。
校庭からは部活動にはげむ学生のかけ声やホイッスルの音。体育館からはボールが弾む音や床を走る生徒たちの駆け音。校舎内から吹奏楽の楽器の音がバラバラに、時にはそろって聞こえてくる。それらの活動をしている女子生徒の中には、いまだにポニーテールをしている。
そんな賑やかな学園生活を屋上から眺める女子学生が一人、フェンスの前に立っていた。
あと三十分もすれば沈みきってしまう夕陽の光りを浴び、冷たい風が彼女のスカートや背中にまでかかる一本に結わいた髪の毛を揺らしていた。
薫は彼女の後ろに立って、止まった。
「なるほど。それが犯行の凶器であり、自分の身をごまかす姿。被害者の証言と一致する」
女子学生の両手には、顔の半分を覆う白いマスクとカッターナイフがそれぞれ握られていた。
「そしてセルフレームのメガネをしている。このセリカ高校で起きた一連の事件ポニーテール狩りの真犯人は、君だね。二年C組の揚羽黄柚子!」
「……」
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