エピローグ

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 観覧者としての名前があった。筆跡は明らかに女性の字で、同じ人が書いたような字体ではなかった。特に志染紅子の字は、字を習い始めたような不安定で子供らしい字だった。そして彼女らのメッセージはどれも、牡丹の夢物語と酷似している。というより、むしろその先があるようにも思える。 「これは、みんな実在していて、見に来てくれたってことですよね。でも、赤星稲穂だけないってことはやっぱり……」  もし、牡丹が自分で書いていないのであれば、そういうことになるだろう。  実在しているならば、牡丹の夢物語は心からのメッセージではなく、牡丹の確固たる体験談ということになろう。今までの判断は何の意味も成さない。  仮に少女蝶々を捕まえる力が牡丹さんにあったとすれば、この世界と異世界をつなぐ力を持っていたと。その力は、魔法か。異世界へ行くワープゲートが見えるのだろうか。特別な扉をくぐれば行き交うこともできるのか。
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