エピローグ

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 狂いなく闇の中で救いを求める叫びが聞こえていたに違いない。響き合う叫びが蝶の羽を輝かせてお互いをつないだ。六匹の蝶を救ったことで、持ち得ていた魔力がなくなった。使い切ってしまった。それが牡丹さんの臨界点だったのかもしれない。ただ、この魔力は回復するのだろうか。もし、回復したとしたら、牡丹さんはまた同じことを繰り返して苦しむだろう。そうならないで欲しいと願う。  どうであれ、牡丹さんは別次元を飛び回り、闇を彷徨い困っている人を助けていたようだ。昔も今も牡丹さんは変わっていない。人の心はどこかでつながっているのだろう。きっと彼女たちの感謝の念がこのノートに乗り移ったに違いない。  今回のようにあの世界を具現化し、自分の中で整理がついてしまったとなれば、異世界をつなぐ力は消えただろう。退院したことには嬉しく思うが、もう少しその現象を調べてみたいと思う自分もここにいる。
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