プロローグ

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「牡丹さん。俺なんかより、起こしてあげたい人はいないんですか?」  薫が聞いた。 「何、その聞き方。さも彼氏はいないみたいに……」  これも仕事よ、と大人事情は話さないことにする。 「実際は、いないんですよね」 「――えぇ、いないわよ。それじゃ、薫君が私の彼氏になってくれる?」 「遠慮しておきます」  薫は即答した。今のは心にきたかもと牡丹は軽くショックを受けていた。表情に出ていないか、……いや苦笑いしていた。 「薫君は年上に魅力を感じたりはしないの?」  私は朝っぱらから、たかが高校生に何をそんなにムキになっているのだろうか。 「んー、そういうのはちょっと良くわからないんです。男が女性を好きになることはわかるんですけど。それ以上のことは、よくわからないです」 「そりゃそうだね。わからないものはわからない。大いに結構よ! でもね、男と女はお互いに想いが通じちゃうと、天に舞うように二人は燃え上がっちゃうこともあるのよ」
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