Bパート 後

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「憶測だよ。ストーカーまがいなことはしていないよ」 「んー、そのくらいしてくれた方が私は楽だったんだけど。んー、本当にされたら引くかもしれないけど」  黄柚子は無理に笑って続けた。 「でも、今、目の前にいるのが花咲君で良かったよ。なんでだろう、落ち着くんだよね。もしかして私の扱い方を知ってた?」 「この世に、人それぞれの取り扱い説明書なんてものは存在しない」  薫はスパッと言い放った。 「思っていたより冷めた性格なのね。ポニーテール狩りの話は熱心に聞いてくれたのに。もう少し話に乗ってきてくれるかと思った……」 「犯行動機についてなら、かぶりつくように話に乗ってあげるよ」 「あれっ? それは花咲君でもわからなかったんだ」 「そうだね。この世はわからないことの方が多い。お互いに知らないことだらけだし……。聞かせてくれないか。君の気持ちを……」  薫が言うと、黄柚子の無理に保っていた笑顔は一転した。沈み行く夕陽の逆光でより表情が暗く見えた。 「花咲君にわかるかな……。ワタシの気持ち」
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