Bパート 後

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 人の体に生えているのだろうか。薫は問うた。ファンタジー映画でも見ているのだろうか。それとも科学と人の融合か。薫は自分を納得させるだけの理由が見つけられなかった。 「これは揚羽一族、本血族のみが継承する種の繁栄記録。後ろ首にあった痣は、この羽を一時的に封印しておくための封印紋章。呪われた印よ。羽は成長とともに大きくなるから非人道的な技で押さえ込んでいるの。大昔は、揚羽家も強い力を持った名家だったらしい。けど、今は仕掛けられた蜘蛛の巣に引っかかって蜘蛛手家の言いなりよ。二十歳を迎えた時、許嫁と結婚するの。……もういなくなってしまったから、きっとまた代わりが私の許嫁として紹介されるだけ。現代には無用なこの呪われた身体を受け入れてくれるところは蜘蛛手家しかないの」 「でも君はどんな形であれ、二人にその姿を見せた。少し心境に変化があったんじゃないのか?」 「あったよ。最悪にねじ曲がった形で」 「……」
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