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「任務用の服ではないから目立つ。森を抜けると森が開けて月の光に照らされる。身を隠せる場所もない」
「俺だって任務服持ってきてないし。だいたい学校終わりに連絡が来て、そのまま現場直行で」
「私もよ」
稲穂は先の要求を撤回するつもりはさらさらない。当然それを拒否できない薫。学ランを脱いで、稲穂に渡した。かわりに稲穂のブレザーを受け取った。
「これ、思っていたより重いのね。それ、私のバッグに丸めて入れておいて。急いで行きましょう」
稲穂は学ランに袖を通しただけで、ボタンはしなかった。そして、学ランに隠れた長い後ろ髪を片手で外に出した。
もう自分だけ上手く準備を整えて俺のことはおかまいなしか、と思いながら薫はブレザーを稲穂のバッグに入れた。そして、薫は、肩から脇にかかるガンホルスターをさっといったん外して、白いYシャツを脱いだ。薫は黒いTシャツ一枚になり、その上にもとあったようにガンホルスターをつけた。後ろ腰に手を当ててもう一丁銃があることを確認した。
「まだなの?」
「そう急かすな」
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