Bパート 前

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「この先にあるのはセリカの施設。そこは私が育った場所」  稲穂がはっきり答えた。 「えっ。こんな山奥出身だったの?」 「いいえ。生まれは普通の街。ここに連れて来られたのが小学二年になった頃。幼少の頃はあまり意識なかったけど、小学生になって体の使い方が分かり始めてから、周囲からは特別な目で見られた。運動能力が桁違いに周りの同級生や男子、大人と違っていたから」  この三年間稲穂と任務をともにして、あまり稲穂が特別に凄いと感じていなかった。自分の中でセリカの任務と日常は完全に区別していたし、周りの友達だって特殊能力と言えるものは持っていないにしろ、それぞれ特有の力を持っていると感じている。勉強や音楽、趣味など自分ができないことや知らないことがそれぞれあって、稲穂の運動能力や特殊能力もその一つだと薫は思っていた。 「じゃぁ、そこで刀の使い方を学んだの?」
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