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「この蝶獣化施設内で、事故があった。あってはならぬ事故だ。なんとしてでもこの中で事態を収拾したい。しかし残念ながら、セリカはこの施設を破棄するとともに爆破し、蝶獣化の種を破壊することが決まった。そして、もうお前の任務は既に完遂している」
……。
……。
この兵士の数では俺をもってしてでも勝ち目はない。
薫は古民家から出て素直に男のもとに向かって歩き出した。男の前までくると、
「確保しろ」
男がそう言うと、二人の兵が薫を捕まえた。
「一体、何を……」
「ヨシ。引くぞ!」
男は兵士全員に合図を出した。そして、無線機に向けて話し出した。
「アミからハチへ。花咲薫を確保した。これからアミは速やかに森を出る。赤星稲穂はシミュレーション通り施設内に侵入。また三分後に合図を送る。それまでハチは上空にて発射待機。どうぞ」
ラジャと、すぐに返事が来ると、いっせいに走り出した。薫は兵士に抱え込まれてしまった。
「おい、どういうことだよ。まだ稲穂が中に……。俺のパートナーが……説明しろ」
薫は手足をバタバタとさせた。
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