Bパート 後

3/6
前へ
/193ページ
次へ
「セリカの蝶獣化プロジェクトは終わりだ。ほとんど成果は得られず、赤星だけが成功したに過ぎなかった。最終的には種が暴走を起こした。人には蝶獣化は向いていない。そして、人間には蝶獣化をコントロールできない。もうこれ以上被害を出す訳にはいかない。それに赤星も完全蝶獣化してしまう可能性もゼロではない」 「だからって、稲穂ごと施設を爆破するのはひどすぎる。もう少し対応できるだろ」 「何も知らず、一瞬で終わるんだ。苦しんで死ぬよりは……楽だ」 「そんなわけ、あるかぁ―――」  薫は腰に手を回して銃を抜き、大柄の男に向ける。兵に抱えられながらも狙いを定める。この短距離で俺は外さない。  引き金を引いた。  乾いた音が森の中へ響き渡った。  ――。  男は平然と走っている。 「バカな……。はずした……」 「違う。お前が外したんじゃない。俺がお前の弾を避けたんだ」 「……」 「俺もお前と同じ能力だ。超速移動している物を見極める。だから、これだけの数の兵士を集めた。お前でも全部は避けきれない」 「……」 「これはセリカの決定事項だ。あきらめろ」 「稲穂……」
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加