Bパート 後

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 薫はうなだれた。  その時、後方から爆発する音が聞こえてきた。予定の爆破とは違うようで、男が無線機に何事だと聞いていた。  辺り一面に赤い閃光が走った。まるで雷の稲妻のように。 「こ、これは、赤い稲妻! まさか……」  男は赤い光が止まった方向を見ると、学ランを着たスカート姿の稲穂――頭から触覚が伸び、背中に蝶の羽を広げて立っていた。不気味に、しかし鮮やかに赤い斑点が光っていた。そして、稲穂の隣には兵に抱えられていたはずの薫が立っていた。 「ちっ。赤い稲妻と双銃コンビ。そろってしまったか。構えろ!」  男が言うと、赤いレーザーポインターが稲穂と薫に集中する。 「稲穂。無事で良かった。危ないところだったんだぜ。セリカが稲穂を施設ごと爆破するところだった。出てこれてホントによかったよ」  薫が安堵すると珍しく稲穂から握手を求めてきた。稲穂は笑っていた。今までにこんな表情を見たことはなかった。 「ありがとう、薫。最後まで私のことを想っていてくれて」 「当たり前だろ。任務中はパートナーなんだし、それに俺の少ない友達だしな」
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