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紅子は両手を胸の前で合わせた。すると紅子に光が集まり出す。と、薫は急にまぶたが重くなった。紅子に集まる光が魔法のように薫の眠気を誘い出している。頭の奥からやってくる眠気に抗うつもりもないが、もう少しの間紅子を見ておきたいと薫は思った。
まぶたが後一秒で閉じる。
と、その時、紅子に集まっていた光が体内で増幅されたかのようにいっきに解き放たれた。同時に紅子の背中に小さなオレンジ色の羽が生えた。まるで口の開いた貝が二つあるように見えた。
薫は一瞬、本当に妖精になった紅子を認識して目を閉じた。
――夢録したい夢を思い浮かべないと。
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