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「おはようございます、はなざきサン。先にお目覚めになられていたのですね。素敵な夢を見られてましたね。しっかり夢録できましたので、ご家庭で見られるテープに移してお送りいたしますね」
紅子は起き上がる。彼女の背中には、眠る前に一瞬見たあの羽が生えていた。そして、紅子のおでこからビデオテープが光を放ちながら出てきた。
「え! 夢録って君の頭の中でしていたの?」
薫は驚き、思わず聞いた。
「はい。これが私の夢録の方法なんです。これにて夢録終了です」
でき上がったばかりのビデオテープを握り締めて、ニコッと笑顔を見せた紅子。
「あ、ありがとう」
もうここに用はない。ここを出て学校に向かえばいい。何も考えず日常に戻ればいいだけのこと。
でも、心の中で引っかかる。
夢の中の女性がなぜ紅子だったのか。単に夢なのだから気にすることはない。だけど、こう気になっては自分の心が釈然としない。
「志染さんは人の夢の中に入ってこれたりしますか? 俺の夢の中に入りましたよね?」
唐突に薫は幻想的な質問を投げかけた。
「えっ、あ……んー」
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