Cパート

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「それじゃ、朝食を下げるわね。ごちそうさまでした」  牡丹が言う。 「はい。ごちそうさまでした」  薫は妹の前で両手を合わせて言った。 「ちゃんと歯をみがいてね!」 「はい。わかってます、牡丹さん」 「わかっていればよろしい」  牡丹は笑顔で薫の病室を出て行く。その間際にもう一度薫を見た。 「心配いらないよ。大丈夫。牡丹お姉さんは優しいから。何でもお話聞いてくれるんだ。今度は三人で話そうね」  薫は紅子に向かって話をしていた。当然ながら紅子から返事はない。  私には聞こえない。でも、牡丹お姉さんという響きは悪くないかもね。また彼と距離を縮めることができたのかも……。  薫の病室のドアが閉まった。
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