Bパート 後

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Bパート 後

 二人は来た林道を下り、元の道路に出て、島の反対側へと向かって歩き出す。山側から木の枝が道路上に迫り広がって、所々日影なっている。  薫は慣れない気候にバテて、持っていた水を飲む。るみに大丈夫かと聞くと大丈夫だと返ってくる。それと一緒に「男子のくせに体力ないのね」と馬鹿にされた。  薫の歩く速度に合わせて、るみは隣を歩いている。 「薫君。今度は私から質問してもいいかな?」 「いいよ」 「どうしてわざわざこの島に来たの? 見ての通りだし、よく本島の人に船を出してもらえたね」 「めちゃくちゃ漁師の人に頼み込んだよ。本島に着いてすぐ、一目せりか島を見た時、島に呼ばれた気がしたんだ。おいでって。いてもたってもいられなくなってさ。もう、本島の観光どころじゃない。この島にくれば、呼ばれた理由がわかるかもって思った」 「たったそれだけの理由で?」 「そうだよ。もしかして、るみが呼んだのかも?」 「ふふっ。それはどうかしら。ロマンチックではあるけど。そんな偶然のようなロマンを求めて旅行に来たの?」
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