Bパート 後

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「じゃぁ、島に残る?」 「そうしたいけど、やっぱり現実を考えると無理だね。電気や水がなく、自給自足も満足にできないし、その術を持っていない。俺はそう思うし、るみもそうでしょ?」 「そっ、それは……」  るみは否定できず、うつむいた。 「だからって、私は島を出て行ったりしない。自分一人で生きてみせる。この島の歴史を私は終わらせない」  薫の瞳に、強い眼差しのるみが映った。けれどその細い体では、薫を説得させるほどの力はなかった。 「本当は、その体じゃ無理だってわかってるんじゃないの?」 「……」 「るみ。一旦、この島の歴史を止めよう」 「今日来た薫君に、十七年間この島に住んでいる私の何がわかるの?」  るみは語気を強めて言った。 「とうてい全部はわからない。でも、るみは海に落ちたいがために背中を押して欲しかったんじゃない。この島で一人生きる勇気をもらうために背中を押して欲しかったんじゃない。本当は誰かに背中を押されて島を出たかったんじゃないの?」 「――そんなことあるわけない、絶対」
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