Bパート 後

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 握手をする手に青白い炎が上がる。一瞬の熱さを覚えたが、二人は手を離さなかった。  『この島で、また二人とお目にかかれることを切に願っている』  この言葉を最後に島の主の声は聞こえなくなった。そして、るみの背に生えていた蝶の羽は光の粉となって消えていった。握手をした二人の手の平には蝶の片羽が描かれていた。 「これで俺たちは運命共同体になったわけか」  薫が言った。 「そうね。よろしく」  るみが言った。  二人はそれぞれの場所で成長することを誓った。 「せりか島の由来を新しく作りたい」 「どうするの?」 「世を離れて住みたくなるような華やかな島で、世離華島って、どうかな?」 「そうなるよ。絶対」 「絶対、そうして見せるね。薫君」  夕方、薫を迎えに来た小型漁船の上で、るみと薫は話をしていた。  夕陽の光で反射した黄金の海を背に、船は島から離れていった。
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