Cパート

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「どう? 体は温まったかな、薫君」  病室のベッドで、下半身だけ布団をかけて座る薫に牡丹は声をかけた。  薫は両手でガラス板がはめ込まれた標本ケースをじっと眺めていた。真っ青の羽―それは片羽だけ―をつけ、Tシャツと短パン姿の女の子が増えていた。  朝食の時間に病室にいなかった薫は、まもなくして雨の降る屋上で見つかった。  雨に濡れた薫をすぐにお風呂に入れて、いつものように事情、いわゆる薫の夢ないし空想を聞いて今に至る。  外へつながるドアの施錠は、特に徹底して指導されているはずにも関わらず、今朝に限り屋上のドアだけされていなかった。  幸いにも、屋上に出ていたのが薫君で良かったと、牡丹は内心安堵していた。  近頃の薫君は、落ち着いていたし、早まった行動に出ることはないと私は思っていたからだ。これが薫君ではなく、他の患者さんであったらどうなっていただろうか。ただ、重度の患者さんはそう簡単に出歩けるようにはなっていないのだが……。 「汗をかいたからって、わざわざ雨を浴びにいかなくても、私に言ってくれればお風呂に入れてあげたのに」
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