狙われる貞操、真夜中の攻防

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 ぼふ、と枕に頭を突っ込んだ。窓の外に視線を移せば、今も土砂降りの雨の音が聞こえている。  大雨で満室のホテル。主人公の女子大生、歩実は唯一空いていたスイートルームに気になっていた教授と2人で泊まる羽目になり―――ってほら、シチュだけ切り取るとめっちゃAVじゃん。いや、少女漫画かな? あ、でもダメだ。私が色々とお下劣だから、少女漫画にはなれないや。乙女力が来い。  雨の音に混じって、シャワーの音がドアの向こうから微かに聞こえてくる。あぁ、厭らしい。シャワー浴びている先生を想像するだけでどうにかなっちゃいそうです。 「へっくし。うわ、ちょっと湯冷めしたかな。……トイレ行こ」  そんなことを考えていたら、くしゃみが出た。体が少し冷えてしまったようだ。前、閉めよう。ホテルのこの浴衣、ちょっと薄いし。 「先生、温めてください! って言って温めてくれる人なわけないんだよなぁ」  私が1回研究室で寝てた時は上着をかけてくれた。もちろんそれはそれで素敵なんだけど、やっぱりこう、もう少し距離を縮めたいこの乙女心。……まぁ、そういうのを期待にするのはお門違いなんだけど。本当はこの状況だって、不味いのは私の方だ。仮にも男女、しかも教授と教え子なんて、一緒の部屋で泊まるべきじゃない2人ベスト5の中に入ってくるコンビだし。 「でも期待せざるを得ないじゃんこれ……」
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