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ぼやきながらもトイレから戻った私は、目の前の光景に思わず生唾を飲み込んでしまった。ベッドの上で枕を背に座っている先生。こちらには目もくれず本を読んでいる。私と同じ、備品の浴衣をゆったりと羽織っていて、サイズのせいか胸元やら手首やら足やらが丸見えだ。まだお風呂から上がったばかりだからか、肌はほんのり赤くて、すね毛や髭にうっすら水滴のようなものが見えた。あぁありがとうございます生きててよかった!
「ドスケベ……」
程よくがっしりした体形がまた良い。何より先生は背が高くて足が長い。浴衣から伸びる長い足。実にえっちだ。しかし、残念ながらパンツは見えそうにない。浴衣がもうワンサイズ小さかったらなぁ!
吸い寄せられるようにそちらへ近づく。そのまま、静かに気配を消してベッドの上に這いあがって乗っかって。
「ん、七崎お前どこに……んおっ?!」
勢いそのまま押し倒してキス! とはならず。先生と私の唇の間には司馬遼太郎の『坂の上の雲』が挟まった。おのれ司馬遼太郎。
その代わり、ベッドに押し倒されて驚く先生が見れた。結構レア。えっち。素敵。
「……何してんだ、離れろ。本がダメになる」
「くっ、キスすらさせてくれないとは……!」
「するわけねぇだろ。何勝手に恋人気取りしてるんだ。事実無根だ、馬鹿野郎」
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