第一幕 二話

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その後も、大きな足音がしたと思ったら通路の絵が何枚も落ちていたり、床に骨董品が乱雑に転がっていたり。何度館内を捜しても、誰もいない。 もう僕、何だか気味が悪くなって。巡回をせずに、ずっと警備室に籠っておこうかな、とも考えたんですけど、元に戻さないと僕が何かしたと思われるから、仕方なく巡回をしてたんですね。 そしたら、ある日のことなんですけど、いつものように巡回をしていたら、後ろから何かが物凄い勢いで走ってくるような音が聞こえて。僕、鳥肌が立って、本能的にそこから逃げてたんです。 けど、走っても走っても追って来ているような気配がして。ここまでか、と覚悟したんですけど、いきなり足音が止まって。一時はほっとしたんですけど、後で館内を見回ったら、骨董品のブースがめちゃくちゃに荒らされていて。割れたものはなかったですけど、とにかく荒らし回ったような跡があって。 僕、よく考えたら、そのブースって自分が割ってしまった壺のあるところだって気が付いて… 次の日もまた同じようなことが続いて。 もう僕怖くて怖くて、落ち着いて眠ることもできなくなって。 辞めようかな、とも考えたんですよ。けど、もし僕が辞めてあの骨董品ブースが荒らされたりしたら、他の誰かが片付けている時に、あの壺がなくなっていることに気付かれてしまうんじゃないかって思うと、どうしようもなくって… それで、ここに来たんですけど…
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