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「ありがとう……嬉しい」
……あれ。
お礼を言って隣に座り、ハッと気づく。
自然に受け入れていたけれど、私はまだ文通のことを何も聞けていなかった。
「あ、あの、手紙は……黒崎くんが書いたの?」
思い切って尋ねると、黒崎くんはちょっと気まずそうに首の後ろを摩り、
「ごめん。今日会ったらすぐに話そうと思ってたんだけど、北野が武士みたいに出てきた衝撃がすごくて忘れてた」
「うっ、あ、あれは……」
武士……そんなふうに見えていたなんて。
恥ずかしくて口ごもる私を、黒崎くんは目を細めてまたクスクスと笑った。
わわわ……。
隣に座って近づいたせいか、さっきよりも顔がよく見える。
最初の頃からは考えられないくらいの優しい笑顔に、ドキンと胸が高なった。
「俺、北野が文通相手だって、かなり前から知ってたんだ」
「えっ、前から?」
びっくりして、つい大きな声が出てしまう。
私が知ったのは夏祭りの夜だから、かなり前というと、それ以前なんだろうか。
「ん、ばあちゃんがブルーの首輪に手紙をつけて誰かと文通してるのを知って、騙されてんじゃねぇかって心配になってブルーのあとをつけたんだ」
確かに……猫に仲介してもらって文通しているなんて、怪しまれても仕方ない。
話を聞いて頷きながら、予想どおり黒崎くんが花さんの孫だとわかって、私はちょっと嬉しくなった。
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