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海の方に視線を泳がせてから、また私をふり向いて口の端を少しだけ上げる。
「納得した?」
黒崎くんの話は、答え合わせをしているみたいでワクワクした。
彼にもそれが伝わったのか、私たちは話しながら顔を見合わせて笑った。
黒崎くんの言う夜明け前の青い空が見られるのは、日の出前のほんの少しの時間らしい。
それを待ちながら、私は持って来ていたカメラで黒崎くんに今日撮った写真を見せた。
応援に来ていた先生や生徒、マネージャーさん、選手の人たち。
カメラの撮影画面だから小さいけれど、黒崎くんはとても喜んでくれた。
肝心のレースは私の興奮で手ブレしていて、ぼやけて上手く写っていなかった。
「臨場感があっていいよ」
「次までに練習します……」
恥ずかしさに唇をとがらせていると、黒崎くんは画面を見ながら、
「今日、大丈夫だった?」
え?と聞き返して、ハッと気づく。
手元の画面に、スタート台に並ぶ黒崎くんと朝陽くんが見えた。
私が試合会場に戻ってすぐ帰ってしまったから、黒崎くんには朝陽くんとのことを何も話せていない。
でも、勝手に留学のことや黒崎くんとの会話を聞いたことを話していいんだろうか。
どこまで伝えていいのか迷っていると、黒崎くんはふっと画面から顔を上げた。
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