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「詳しい話はしなくていい。ただ、大丈夫だったかなって心配だっただけ」
……あ。
優しさが心に染み込んでくる。
私は朝陽くんから聞いた話を省いて、今日のことを話した。
朝陽くんも苦しんでいるとわかったこと。
強くなって、いつかちゃんと彼と向き合いたいと思ったこと。
感極まって涙が出そうになるのをぐっと堪える。
黙って話を聞いていた黒崎くんは、私をじっと見つめてわずかに目を細めた。
「俺は、北野のそういうところ、すげぇなって思うよ。大和のことも辛かったことも、俺は想像するしかできないけど、それでも北野が乗り越えようと頑張っていることはわかる」
まっすぐな言葉に、目の奥が熱くなる。
優しい気持ちが眼差しからも伝わってきた。
「手紙の相手が北野だって知るまでは、何もしてねぇのに怖がられたりするの、よくわかんなくて正直イラついた。でも、手紙で北野のことを知ってちゃんと見てたら、当然だけど人って自分が見えてる部分だけが全部じゃないんだなってわかって……反省した。だから、少しは思慮深くなったと思う」
最後は冗談っぽく笑って、またまっすぐに私を見つめる。
「これは、北野のおかげ。ありがとう」
言葉がきらきらと輝く光の粒みたいに、目に見えた気がした。
私は喉をせり上がる涙のかたまりを飲み込んで、声を絞り出した。
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