71人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺も、同じだよ。北野の何でも一生懸命なところも、頼りなさげに見えて意外にたくましいところも、見てると励まされて俺もがんばろうって思える」
空を見上げていた瞳が私を捉える。
こみ上げる胸の熱さに、思わず吐息がもれた。
私を見つめる黒崎くんは、今までで一番優しい表情をしていた。
「わ、私もっ、黒崎くんの……諦めないところも、無愛想なところもっ。優しいところも、すごく、好き。黒崎くんが好き……」
堪えきれずに、ぽろぽろと涙があふれ出る。
それを両手で拭いながら私は必死に気持ちを伝えた。
頭の中がぐちゃぐちゃで、自分で何を言っているのかわからなかった。
「北野」
黒崎くんが笑いながら、名前を呼ぶ。
涙を拭って目を開けると、まっすぐな眼差しが見えた。
「俺も、好きだよ。すごく」
え……。
心臓を鷲掴みにされたみたいに、息ができなくなる。
目を見開いて固まる私を見つめながら、黒崎くんはゆっくりと顔を傾けた。
情報処理がうまくいかないまま、近づいてくる黒崎くんの顔を「綺麗だなぁ」と思って見つめていると、彼はまた困ったような表情を浮かべて、
「キスしようとしてるの、わかってる? できたら目を閉じてほしいんだけど」
……キス。
「……」
「……」
「えっ!!!」
彼の言葉を頭の中で反芻して、理解がかなり遅れてやってきた。
キキキキス……!!!
ボンッと噴火したみたいに顔が熱くなる。
自分でも真っ赤になっているのがわかった。
「だから、赤くなられると俺までうつる……」
笑いながらそう言って、そろりと頬をなでる。
ずっと困ったような表情をしている黒崎くんは、ゆっくりとまた顔を傾けた。
わ、わわわ……。
今度は失敗しないように、ぎゅっと目を閉じる。
遠くで私を応援してくれるブルーの鳴き声が聞こえた気がした。
最初のコメントを投稿しよう!