3.前途多難な石の日々

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 このままずっとテスト期間が続けばいいのに。  そう願っても叶うわけはなく、中間考査の全日程が終わってまた窓際の四面楚歌席に戻った日。  吉永先生から、遠足のお知らせがあった。 「配ったしおりの通り、6月1日に遠足があります。内容はハイキングと飯盒炊さん。ハイキングと聞くとピクニックみたいなイメージを持つかもしれませんが、実際は山の中を10kmほど歩きます。はっきり言って、ハードです」  教室内がとたんに騒がしくなった。長谷くんが立ち上がり、先生におやつのことを質問してさっそく笑いを誘っている。  ざわめきの中には長距離を歩くことへの不満の声も多いけれど、私はワクワクしていた。  学校の外でみんなと過ごすのは楽しいし、実はこう見えても、けっこう運動が得意だったりする。  泳ぐのは苦手だけれど、前の学校では陸上部に入っていたくらい走るのも歩くのも好きだ。  問題は行動グループの班分けのみ。できれば、女の子だけの班がいい。 「今回の班分けは出席番号順です。1番から5番が1班。6番から10番が2班」  わわわ……!  吉永先生の言葉に、思わずピンと背筋が伸びた。  出席番号順なら、11番の由真ちゃんと12番の私は同じ班になる。他に男の子がいたとしても、由真ちゃんが一緒なら全然いい。
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