どこまでも濃く深い透明

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 誰もいない体育館で、3ポイントシュートが決まらない。  夏休みの自主練習、外に出て頭を冷やす。  蝉の鳴き声の中に、何かが混じる。  体育館横の水道から上がる水飛沫。  水色のホースは生き物のように水を吐く。  舞い踊る水と、クラスメイトの女子が1人。  夏休み中だから良いものを、セーラー服がびしゃびしゃだ。  でも何故か『馬鹿みたい』とは思わなかった。  目が合う。  言葉を発するより早く、水の塊が顔面にヒット。    どこまでも澄んで眩く笑うその姿に、文句の言葉を忘れてしまった。
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